私は1999年8月4日にAdriatorを公開しました。デザインは、アイルランドの室内用暖房器具ブランドのロゴにあった、一文字の「T」から始まりました。アイルランド人がそれを送ってくれたのですが、その人の名前がAdrianだったので、言葉を組み合わせてAdriatorという名前を作りました。手掛かりは一文字だけでしたが、そのスタイルからアルファベット全体を推し広げて作りました。
できあがったのは、太い部分と細い部分の大胆なコントラストを持つ、縞模様のディスプレイ書体です。振り返ると、The Price is Rightのセットデザインの装飾や、昔のドライブインシアターの軽食売り場を思い出します。当時は、流行のY2Kらしさがあると考えていました。1990年代後半に多くのデザイナーが試していた、1970年代のスタイルをノリよく実験的に捉え直した感じです。私たちの多くは、忠実な復刻ではなく、再解釈を行っていました。忠実な復刻がより盛んになったのは、その後の2000年代です。
Adriatorが使われているのをあちこちで見かけたことはありますが、特に目立つ場面ではありませんでした。私のほかのプロジェクトと比べると、技術的には簡単に作れました。ただ、出発点がたった一文字だったことは難題でした。AC/DCやKISSのロゴであれば、少なくとも三つの異なる文字から推し広げられましたが、この場合は、残りのほぼすべてを一から考え出さなければなりませんでした。
Adriatorは最初、商用利用可能な無料のデスクトップライセンスで公開しました。2022年11月にパブリックドメインに移し、自由に使ったり、作り変えたりできるようにしました。