私は2009年8月18日にAcrylic Brushを、実験として公開しました。スクリプトフォントは、通常、すべて大文字で組むことを避けますが、その用途のためにわざわざデザインしたらどうなるのか、見てみたかったのです。できあがったのは、スモールキャップスのプロポーションを持ち、文字同士がつながらない、すべて大文字のスクリプト書体でした。スクリプトフォントの中では、珍しい立ち位置になりました。
制作は、文字を黒一色のインクで描くところから始めました。それをスキャンし、完全な文字セット、独自の合字のペア、カーニングを備えた、使えるフォントに仕上げました。色あせて擦り切れたような質感を加えるため、Photoshopとタブレットで、テクスチャのあるブラシを使いました。その後、ビットマップを自動トレースして整え、元のグリフと位置を合わせました。特定の看板や印刷のスタイルを再現するのが目的ではありません。ブラシの質感を試し、そこから何が生まれるかを見ることが中心でした。
追加した機能の一つが、同じ文字が二つ続く組み合わせを自動で置き換えるOpenTypeの合字です。これによって、書体がより自然に見えるようになります。2021年6月18日のAcrylic Brushの更新では、非推奨の文字、あらかじめ一文字として用意した分数、反転した左引用符を削除し、OpenTypeの分数機能も拡張しました。
Acrylic Brushはあまり注目されず、読みにくいこともあります。それでも、その価値は、記憶に残る変わり種であることにあると思います。すべて大文字という手法は仕掛けにすぎませんが、目を引くものや型破りなものが必要なときには、仕掛けが役立つこともあります。